熊本阿蘇 | マイナビ ツール・ド・九州2025
2025.10.10.FRI - 10.13.MON 0DAYS TO GO!

リザルト

STAGE 2 熊本阿蘇ステージ

  • ステージ優勝

    Dries DE POOTER

    [IWA]

  • ベストジャパニーズ賞

    Kosuke TAKEYAMA

    [BLZ]

  • 総合時間賞

    Kyrylo TSARENKO

    Kyrylo TSARENKO

    [TFT]

  • ポイント賞

    Dries DE POOTER

    Dries DE POOTER

    [IWA]

  • 山岳賞

    Hijiri ODA

    Hijiri ODA

    [MTR]

  • 新人賞

    Gerard LEDESMA GARCIA

    Gerard LEDESMA GARCIA

    [VCF]

※各賞をクリックすると以下の順位表が切り替わります。

NO NAME TEAM NAME COUNTRY GENERAL TIME GENERAL TIME BEHIND CLIMBER POINT YOUNG RIDER STAGE TIME STAGE TIME BEHIND BEST JAPANESE
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REPORT

熊本阿蘇ステージ レースレポート

 

マイナビ ツール・ド・九州2025 熊本阿蘇ステージ(第2ステージ)

 

マイナビ ツール・ド・九州2025 大会2日目となる熊本阿蘇ステージ。引き続き総合成績に変動をもたらす可能性があるステージであり、前日上位に入った選手たちはそれぞれの目標とプランでレースに臨んだ。

 

わずか4秒差の総合2位につけるレイン・タラマエ(キナンレーシングチーム)は、「ステージレースをたくさん走ってきたから知っているけど、ステージレースでは次の日に何かトライすることできる。今日も何かしたいね」とスタート前に語った。そのキャリアの中でヨーロッパの1週間規模のステージレースを数多く制してきたベテランの経験値が生きるか。

 

総合1位2位が横並び。ポイント賞ジャージを繰り下げで着用するレイン・タラマエ(キナンレーシングチーム、左から2番目)とブルーの総合リーダージャージを着るキリロ・ツァレンコ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、左から3番目)

 

総合3位につけるニコロ・ガリッボ(TEAM UKYO)は、30秒後方にいる総合4位ジョセフ・ピドコック(Q36.5プロサイクリングチーム)の存在が気がかり。表彰台を守ることに焦点を置く。

 

「総合1位2位とは1分近い差がついているので、むしろ3位を守る走りになると思う。後ろの3人、ピドコックのほかファンボーヴェンとヴェルシェに気をつけないと……」

 

ガリッボの警戒は正しい。総合6位につけるマッテオ・ヴェルシェのチーム、トタルエナジーズは総合成績の逆転とステージ優勝をこのステージに期していた。

 

「我々は総合6位を獲りに日本に来たわけじゃない。今日は0からの再出発だが、ステージ勝利そして総合上位を狙う。山岳ポイントからフィニッシュまでの距離はあるが、それでも仕掛けるよ」

 

昨日、終始レースを作り積極的なレースを見せながらも、ステージ6位に留まったトタルエナジーズ。優勝候補の筆頭と目されていたチームとしては不本意な成績であることは明白であり、優れた登坂力を見せたエースのジョルダン・ジェガットでもう一度勝負したい。そしてその動きは、総合3位のガリッボにとっては脅威となる。

 

しかし援軍もある。総合7位につける増田成幸(TEAM UKYO)は、「チームのミッションはより多くのUCIポイントを持ち帰ること。自分の成績も頭の片隅に置きつつ、ガリッボの総合3位を守る、逆転を狙う走りをしたいですね」と、チームメイトのための献身的な走りを厭わない。

 

スタートに先立ってのテープカット。左から河津修司熊本県議会議員、坂本哲司衆議院議員、木村敬熊本県知事、池辺和弘ツール・ド・九州2025実行委員会 会⻑、金子恭之衆議院議員・自転車活用推進議員連盟幹事⻑、髙橋周二南小国町⻑

 

南小国町の瀬の本レストハウスをスタートし、南阿蘇村役場にフィニッシュする熊本阿蘇ステージはマイナビ ツール・ド・九州ではお馴染みのステージ。今年は途中のレイアウトに変更が加えられ、周回コース内にある1級山岳ミルクロードを2度通過する高難度となった。しかし2回目の1級山岳の登り切りからフィニッシュまでは53kmと距離がある。

 

スタート直後からアタックが繰り返された熊本阿蘇ステージ

 

総合狙いのチームに加え、ステージ勝利を狙いたい選手、見せ場を作りたい選手たちがこぞってスタート直後からアタックを繰り返した。23km地点に設定されるこの日最初のスプリントポイントまでは下り基調。このポイントにかかるボーナスタイムを狙う総合系のチームはみすみす逃げを許すわけにはいかない。

 

阿蘇の絶景の中を走る、大会おなじみのステージ

 

この最初のスプリントポイントはメイン集団での争いとなり、ジェガットが先頭通過。クライマーと目されているジェガットだが、ヴェルシェの前言にあった通りの攻撃的な走りを見せる。

 

1級山岳へ向かうプロトン

 

このスプリントポイントを経て集団は沈静化。その間に山岳賞ジャージを着る織田聖(マトリックスパワータグ)や入部正太朗(シマノレーシング)、久保田悠介(ヴィクトワール広島)、阿部源(VC福岡)、マルセロ・フェリペ(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)の5名の逃げが形成され、そのまま最初の1級山岳へ突入する。

 

山岳賞ジャージを着る織田聖(マトリックスパワータグ)を含む5名が先行して1級山岳へ

 

この長い登りで織田が一人で抜け出して、他の4名を置き去りにする。単独で山頂を通過し、山岳ポイントの加算に成功、ジャージを確たるものにした。一方でメイン集団から一人飛び出してきたトマ・ボネ(トタルエナジーズ)が山岳ポイントを2位で通過し、ほどなくして織田に追いついて先頭グループを形成した。

 

獲得ポイントで山岳賞を確定させた織田だが、「後ろに戻ることもできましたが、せっかくなので着いていけるだけ着いていきました」とボネと共に前を行くことを選択。「これが僕のツール・ド・フランスか、と思いながら走りました」

 

メイン集団からTEAM UKYOとトタルエナジーズの選手がこの登りでさらに仕掛ける場面もあったが、いったん集団にまとまり織田とボネを追う。2回目のスプリントポイントはボネが先頭で通過した。

 

2回目の山岳でアタックしたジョルダン・ジェガット(トタルエナジーズ)

 

2回目の1級山岳ミルクロードに入りトタルエナジーズの牽引する集団がペースアップ。織田とボネを吸収し、ジェガットがアタックで飛び出す。この動きをアレッサンドロ・ファンチェル(TEAM UKYO)が追随し、2名で山頂を通過。しかし決定的な差にはならず、下りで選手たちが続々と合流。総合6位までの選手を含む17名の小集団が形成された。

 

2度の1級山岳を経て17名の先頭集団が形成された

 

有力勢による総合争いが加熱するかと思われたが、フィニッシュまで下り基調のプロフィールもあり、攻撃が続かず集団は沈黙。残り31kmでソリューションテック・ヴィーニファンティーニの引く後続集団が追いついてきて、40名ほどの集団ひとつに再構成された。

 

メイン集団の牽引はソリューションテック・ヴィーニファンティーニ

 

この日最後の中間スプリントは総合8位につけるヘノック・ムルブラン(XDS・アスタナ)が先頭通過。ジェガットが2位で通過し、さらなるボーナスタイムを獲得した。

 

色見での中間スプリントポイントは横一線で右端のヘノック・ムルブラン(XDS・アスタナ)が先着

 

フィニッシュに近づく集団からは散発的なアタックがかかるがソリューションテック・ヴィーニファンティーニが封じ込め、集団スプリントに持ち込む。登り基調のフィニッシュラインで、チームメイトのリードアウトを得たドリース・デポーテル(アンテルマルシェ・ワンティ)がいち早くスプリントを開始した。

 

スプリントで先行するドリース・デポーテル(アンテルマルシェ・ワンティ)

 

佐世保クリテリウム3位のジョフレ・スープ(トタルエナジーズ)やムルブランの追い上げは届かず、デポーテルが勝利を飾った。22歳のデポーテルはこれが記念すべきプロ初勝利。そして総合6位までジャンプアップを果たした。

 

この集団スプリントに加わりステージ8位に入った武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)は、この日のベストジャパニーズ賞に輝いている。

 

結果的に総合5位までは順位・タイム差が前日と変わらずに熊本阿蘇ステージを終えた。依然として総合首位ツァレンコと2位のタラマエとのタイム差は4秒。ボーナスタイムでの逆転は起こり得る僅差だ。総合優勝の行方は、最終日となる宮崎・大分ステージに持ち込まれた。

 

連日の攻撃的な走りでレースを盛り上げたトタルエナジーズだが、狙っていた勝利にはあと一歩届かなかった。最終日にさらなる一手を打ってくるかに注目したい。TEAM UKYOもまたアグレッシブな走りを見せ、ガリッボの総合3位を守った。ステージ優勝こそワールドチームにさらわれたが、総合成績では上位3名中2名がコンチネンタルチーム所属の選手となっている。

 

熊本阿蘇ステージ(第2ステージ)結果

1位 ドリース・デポーテル(アンテルマルシェ・ワンティ) 2時間35分47秒

2位 ジョフレ・スープ(トタルエナジーズ)

3位 ヘノック・ムルブラン(XDS・アスタナ)

 

個人総合成績

1位 キリロ・ツァレンコ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 5時間25分09秒

2位 レイン・タラマエ(キナンレーシングチーム)+4秒

3位 ニコロ・ガリッボ(TEAM UKYO)+49秒

 

総合時間賞リーダーのキリロ・ツァレンコのコメント

「他のチームが1日中アタックを繰り返し、ステージをハードにしようとしてきました。しかし素晴らしいチームワークのおかげでもう一日、ジャージを着ることができます。明日どうなるかはわかりませんが、このジャージを守りたいですね」

 

ステージ優勝・ポイント賞リーダーのドリース・デポーテルのコメント

「今シーズンは78日間レースをしていて疲労もあったので、登りでは絶好調ではありませんでした。最初の1級山岳では大いに苦しみ、2回目は温存する走りに徹しましたが、最終的に集団に戻れて幸いでした。中間スプリントもあえて狙わず、フィニッシュでのボーナスタイムに賭けました。残り2kmから1kmにかけてアレクサンダー・カンプが、残り500mまではフィト(・ブラーツ)が、そして残り300mでルーカ(・ファンボーヴェン)が発射してくれました。彼がものすごく速かったので、フルガスでもがいたんです。彼らには感謝してもしきれません。明日は、今日彼らがしてくれたように自分がサポート役にまわってもいいと思っています」

 

チームワークでステージ優勝をもぎとったアンテルマルシェ・ワンティ

 

新人賞リーダーのジェラルド・レデスマのコメント

「逃げを試みましたが、トタルエナジーズが速いテンポで走っていたので難しかったです。2回目の中間スプリントはボーナスタイムを狙いましたが4位通過……惜しかったですね。フィニッシュのスプリントは混沌としていて、自分のベストが尽くせたとは言えないですが、安全に終えられて明日に繋がったので、このジャージを守れればと思います。」

 

山岳賞リーダーの織田聖のコメント

「スプリントポイントの後に5人で1級山岳に入りましたが、集団が思いの外近くに来ていたのが見えたので、イーブンペースからフルガスに切り替えて一人で行くことにしました。トタルの選手に着いていったら2回目の登りまで先頭で行けたので、もう一回山岳ポイントを狙えればよかったのですが。今日は獲れるものは全部獲るんだ、と山岳賞だけを意識して走りました」

 

ベストジャパニーズライダーの武山晃輔のコメント

「チームで隊列を組めたらよかったのですが、あまりに集団の人数が多くカオスだったので、個々のポジションからもがいたところ、幸いにも自分のラインが伸びて流れ込みました。チームとして表彰台に乗ることができていなかったので、ひとまずそのミッションがクリアできて良かったです。昨日、日本人でメイン集団に残ったのがベテランの2人(新城・増田)だったことはチーム内でも話題になりました。(沢田)時選手が落車で止まっていなければ、という“たられば”はあるのですが、それでも悔しい思いで昨日は過ごしたので、今日はリベンジをしたくて。エースが不在の宇都宮ブリッツェンもやれるんだというのを多少は見せられたかなと思います」